感傷と郷愁、そして映画愛に乾杯!

「ニュー・シネマ・パラダイス」 1989年/イタリア・フランス 

「ノスタルジー」がテーマの映画と言えばベスト3に必ず入ってくる作品。映画の中の映画として『駅馬車』『嘆きの天使』などの名作映画が全編にわたって数多く登場する。今回久しぶりに観たけれど、悪人が誰一人出てこない。劇場で観るのではなく、自宅だとおじさんでも誰憚ることなく思いっきり泣けるから良いんです。

でも公開当時はそうでもなかったけど、じわじわと名作の誉を得た作品という印象。日本では200席足らずの、いわゆるミニシアターで上映がスタートし、劇場の動員記録を樹立したそうで。本国イタリアでも劇場公開された「オリジナル版」の上映時間は155分だったが、興行成績が振るわなかったため123分に短縮して国際的に公開し大成功を収めたらしい。詳しく調べたら、「オリジナル版」「完全オリジナル版」「インターナショナル版」「劇場公開版」「ディレクターズ・カット版」など、数多くのバージョンがあり、自分はどれを観たのか何だかわからない。まあそれだけ長く愛されている映画だということかもしれません。そして何と言っても巨匠エンニオ・モリコーネ作曲の主題曲「Cinema Paradiso」は、今も映画音楽史に燦然と輝いていますね。

我が国でも山田洋次監督が『ニューシネマパラダイス』の日本版とも言える『虹を掴む男』(1996年)という映画を西田敏行主演で撮っていて、『警察官日記』『野菊の如き君なりき』など、邦画の名作が映画の中の映画として全編にわたって出てくる。そして極め付けとして『男はつらいよ』も登場し、公開の直前に亡くなった渥美清を追悼しています。

 

つかもと
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☆ニュー・シネマ・パラダイス と合わせて飲みたいワイン

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映画の舞台となったシチリアの、まさに地酒として親しまれているフラッパートという品種。

気が付いたらボトルが空になるほどに、軽快で果実たっぷりな味わい。

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「ニュー・シネマ・パラダイス」 1989年/イタリア・フランス 
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ  出演:フィリップ・ノアレ、ジャック・ぺラン、サルヴァトーレ・カシオ、マルコ・レオナルディ、アニェーゼ・ナーノ、プペラ・マッジオ、レオポルド・トリエステ ほか
第62回アカデミー賞外国映画賞受賞作品。ローマのシチリア島の村。映画好きの少年・トトは映写技師のアルフレードと仲良くなり、さらに映画へのめり込む。恋や兵役を経て映画監督になった彼のもとへ、ある日訃報が届き……。

松尾伸也

「MY FAVORITE THINGS」編集長。酒、レコード、映画、活字、美味しいものの周辺に生きている。本来は「映画は劇場で鑑賞する派」だが、コロナ禍のスティホーム時期に録り溜めしていた映画を少しずつ見出して、いつのまにか千本を突破。映画をアテにチビチビと、好きなお酒を飲みながら過ごす週末を楽しみに日々を送っている。

ダテユウイチ

長崎県出身・福岡在住のイラストレーター。1989年生まれ。2014年より本格的に活動を開始し、シュールでユーモアなタッチの作品を特徴とする。ドローイングや個展を多数開催しており、雑誌、アパレル、企業とのコラボレーションも展開。地域に根ざしたPOP UPイベントなど、多様な形で表現を行っている。