おじいちゃんの愛しいキャラクターと深みのあるセリフに乾杯!

『ストレイト・ストーリー』1999年/アメリカ

『エレファントマン』や『ブルー・ヴェルベット』などと比べると、デヴィッド・リンチの作品群の中では少し異質な作品ではあるが、リンチファンの中でもイチニを争う人気作品である。実はリンチの公私にわたるパートナーであったメアリー・スウィーニーが、「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載された実話に基づくストーリーを脚本化、その話に感銘を受けたリンチが自らメガフォンを取ったという。

広大なトウモロコシ畑、どこまでもまっすぐと続く道、そして降るような満天の星…。旅の途中で出会うさまざまな人との会話。仲違いしていた兄に会うために、560kmの道のりを、時速8kmのトラクターでゆっくりと、そしてまさにストレイトに進む主人公のアルヴィン。

アルヴィン役は、長年スタントマンをやってきたリチャード・ファーンズワース。ほとんど無名の俳優ではあるが、まさにこの役のために今まで生きてきたように見えるほどぴったりだ。そしてそんな弟を待っている兄のライルに『パリ・テキサス』のハリー・ディーン・スタントンというのがまた泣かせるではないか。主人公アルヴィンの何気ないセリフがズシリと心に響く、まさにストレイトな沁みるストーリー。

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☆ストレイト・ストーリー と合わせて飲みたいワイン

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チャーミングな酸と果実味の、軽快な赤ワイン。コップで飲みたくなるような気軽さがあります。エチケットのウサギに何故か生えている鹿のツノを見て、これしか無いなと。

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『ストレイト・ストーリー』1999年/アメリカ

監督:デヴィッド・リンチ 脚本:ジョン・ローチ、メアリー・スウィーニー

出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン ほか

アイオワ州の小さな町で暮らしている73歳の老人、アルヴィン・ストレイトは、娘のローズと二人暮らし。ある雷雨の夜、長年仲違いしていた兄・ライルが心臓発作で倒れたという知らせが届く。車の免許を持たない彼は兄に会うため、時速わずか8kmのトラクターに乗り、遠く560キロ離れた地へ向かう旅に出る。

松尾伸也

「MY FAVORITE THINGS」編集長。酒、レコード、映画、活字、美味しいものの周辺に生きている。本来は「映画は劇場で鑑賞する派」だが、コロナ禍のスティホーム時期に録り溜めしていた映画を少しずつ見出して、いつのまにか千本を突破。映画をアテにチビチビと、好きなお酒を飲みながら過ごす週末を楽しみに日々を送っている。

ダテユウイチ

長崎県出身・福岡在住のイラストレーター。1989年生まれ。2014年より本格的に活動を開始し、シュールでユーモアなタッチの作品を特徴とする。ドローイングや個展を多数開催しており、雑誌、アパレル、企業とのコラボレーションも展開。地域に根ざしたPOP UPイベントなど、多様な形で表現を行っている。