
前回は「二日酔い」をテーマに、ナチュラルワインの醸造方法に触れましたが、さらに踏み込んでいきましょう。
ナチュラルワインの定義のひとつとして、自然発酵で人的介入を極力避け、ありのままのブドウの味わいを追求するということを挙げましたね。僕らもそこに魅力を感じてナチュラルワインを取り扱い、ついには醸造まで始めた訳ですが、実際のところ「ナチュラルワイン」と呼ばれるワインの市場における割合をご存知ですか?
全体のワイン市場に占めるシェアは「2.5%~3%」。非常にニッチな市場ですが、約10年前の2014年の統計では1%以下。小さいながらも市場は確実に伸びていると分かります。
ナチュラルワインのワイン市場における立ち位置を確認したところで、次はそんな「ナチュラルワイン」とよく対比される「クラシックワイン」との違いについて。
両者の違いとしてよく挙げられるのは前述した醸造方法。
ナチュラルワインは年ごとの日照量や降雨量など、ブドウの生育環境が味わいに対してもたらす影響も個性のひとつと捉えて、ありのままに醸造していきます。一方でクラシックワインの醸造において重んじられるのは代々継がれてきた伝統と安定感。培養酵母を添加して発酵を安定させたり、味わいの安定のために必要な添加物を使うことで代々紡がれてきた「その土地らしい味」をどの年でも保ちます。
以前はクラシックとナチュラルとが線引きされているイメージでしたが、近年その境界線は薄まっているような印象です。
クラシックな醸造方法をとるフランス内の大手ワイナリーでもオーガニックに転換するところやサステナブル認証を取得するところが現れてきています。一方でナチュラルワインの生産者においても、近年の地球温暖化による気候変動に対応したブドウ栽培、ワイン醸造を行ううえで過剰な添加物の使用こそしないものの、発酵中の温度管理や必要最低量の酸化防止剤(亜硫酸塩)を瓶詰時に添加するなど、ブドウ本来のフレッシュな味わいを表現するための管理を徹底する生産者も増えています。
そもそも世界最高峰のワインとして知られる「ロマネ・コンティ」は栽培、醸造においては古くからナチュラルな手法をとっています。格付けのルールなどによってクラシックワインに分類されますが、その境界線はイメージしているほど分厚いものではなかったのかもしれませんね。
少し長くなりましたが、改めてそれぞれの特徴を簡単にまとめてみましょう。
ナチュラルワイン
・ブドウのありのまま、軽やかで生き生きとしたフレッシュな味わいのものが多い。
・土地の個性に加え、醸造家のスタイルも大きく味に寄与する。
・野生酵母で発酵、酸化防止剤も最低限の量。
クラシックワイン
・味が安定していてブレがない。酸化しづらいため長期の熟成も可能。
・フランスの公的機関が定めた規格の中で品種と土地の個性が引き出されている。
・培養酵母を使用することもあり、雑味のないクリアな味わい。
それぞれの良さがあるのが分かりますね。
と語っている僕にとって、最初にハマったのがナチュラルワインだったので、逆にクラシックワインに新鮮味を感じたりしています。これだけ歴史があるものに対して「新しい!」なんて失礼かもしれませんが、そんな風に面白がれることで世界は広がるのかなあと。
安定したクラシックワインは味の変化がゆっくり感じやすく、ナチュラルワインとは飲む時間軸が違うんだなと、そんな気づきを得たりして。
クラシック・ナチュラルもそうですが、国をも超えてボーダレス化が進んできているワインの世界。あまり固定概念に縛られず、仲間とワイワイ飲む一本、食事の後にじっくり飲みたい一杯、シチュエーションに合わせて、自分の体に馴染みがいいワインを選ぶことをおすすめします。
そんな訳で毎日毎日たくさん飲みたい僕は、自然とナチュラルワインに手が伸びてしまうのです。
さて、次回の相談内容は「ラベルの見方について」。そこからもクラシックワインとナチュラルワインの個性が見えてきますよ。お楽しみに!



