2008年11月1日に結成された蓮沼執太チームは、蓮沼執太、石塚周太(ギター)、itoken(ドラム)、尾嶋優(ドラム)、斉藤亮輔(ギター)から成る、ツインギター、ツインドラムのベースレスのバンド。蓮沼執太フィルの母体となっているアンサンブルである。結成17年、初のスタジオ音源アルバム『TEAM』のリリースを記念して、蓮沼執太チーム初の4都市ツアーを敢行。ツアー最終公演地である福岡で、ライブ(2026年2月17日)の翌日に蓮沼執太にインタビューを行った。(イラスト:Eishin Yoshida、聞き手:松尾伸也)

____ そもそもお酒はお好きですか?
はい、すごく好きですよ、お酒。お酒の味はお酒でしか味わえないので、味覚を感じることがすごく好きです。例えば蒸留酒だったら蒸留酒でも、たくさん種類があるじゃないですか。それぞれの味の違いを感じるのが好きというか。でも普通に安い缶ビール買って飲むのも好きです。つまりお酒全般が好きってことですね。やっぱり夜飲むことが多いので、ご飯と一緒にいただくっていうことが習慣的には多いです。
____ 音楽聴きながら飲んだりしますか?
はいもちろん。これはワイン飲む時に聴く曲かなとか思ったりします。例えば朝に聴くような音楽は飲みながらは聴かないと思うんですよね。あんまりクラシック聴きながら飲むっていうのは少ないかもしれないです。どちらかというと、リズムがある音楽とか。アンビエントもありますかね。時間にもよるかな。
____ お酒に合う音っていうのがあると思いますか?あるいはお酒に合う音とか…。
でも僕ウイスキーバーとかで、爆音でレコードを聴きながらっていうのも結構好きなんですよ。その時々のマスターの気分で変わるとは思うんですけど。だから音っていうよりかは割と音楽の方が合うんじゃないですか。音ってなるとちょっとプリミティブすぎて。僕は音楽だけじゃなくて、一応音も取り扱っていて、音というのはそこら中にあるものなので。もう少しコンポジションされた、演奏されたものとかの方が合いそうですよね。
____ 例えば山に行って飲んだとして、そこでiPhoneとかで音楽聴きますか?そこでは自然の音を聞きながら飲んだ方がいい?
いやぁ、難しい質問ですね。でもなんか両方やっちゃいそうですけど。一回その自然の音に耳澄ました後に、やっぱりマイルス・デイビス聴くか、プリンス聴くかみたいな感じっていうのも贅沢ですよね。どっちもじゃないですか。いや、でもやっぱり自然の音を聴くんだったら水とか飲んでいるかも。お酒じゃないですね。気分が上がってくるし、日常じゃ得られないものだから、やっぱ音楽を聴く方がいいんじゃないかな。
____ 一人で飲んだりもしますか?
一人で飲んでますよ、僕。家でも外でも。バーとかで一人で飲んでいます。自分で嗜んでいるってことだと思うんですけど。多分お酒をコミュニケーションの道具、あるいは媒介物として考えてないんじゃないですかね。もちろん、打ち上げは大好きです。一人でもぜんぜん行きますね。なんだろう。自分でボーっとする時あるじゃないですか。なんか散歩していてボーっとしている時とか、すごく複雑な芸術作品とか見ている時ってボーっとしません?例えば、コンテンポラリーダンスとか見ていると、その動きが複雑すぎてボーっとしちゃう時があって。それってなんか隙間や余白がある感じがするんですね。その隙間に自分が入っちゃうと、ボケーっとなんも考えてないみたいな時間があって。お酒一人で飲んでいるとそういう時間が割とあって。余白が好きですね。
____ これ美味しかったなみたいな。どこかで飲んだあの一杯は忘れられないとかあったりします?
いや、それはもう直近の話ですよ。昨晩、大名のON THE ROCKSで飲んだあのタリスカー 10年のソーダ割り。やっぱりライブの後の二次会で、食べた後に落ち着いたミュージックバー行って飲むのいいですよね。僕、2015年にニューヨークに引っ越しているんですけど、その時クラフトビールがめちゃめちゃ盛り上がっている時期だったんですよ。ちょうどクラフトビールとかナチュールとかができ始めたぐらい。ブルックリンで有名なところがあって、そこで飲んだビールも全部おいしくて衝撃的でした。安くて、ミニサイズみたいな、もう何ドルか忘れましたけどミニサイズ。何十種類ってあるから、タップじゃなくて、ミニサイズでいろんな味を楽しみました。やっぱり繊細な感じがするんですよね、日本のビールは。あの日本の薄張りみたいなやつ。ちょっと冷えた薄張りに、少し泡少なめで飲むビールも好きです。あのサークルでしたっけ?福岡の大手門商店街の立ち飲みのお店。広島式の泡が出ないビールサーバー。あれもすごく好きですね。
____ 先ほど海外の話が出たんですけど、今一番したい旅ってあります?
旅ですか。ちなみにツアーして最終地点でいま福岡にいるので、旅している途中なんですけど。一人旅ではなくバンドで来ているので、その旅の夜にライブをして、反応っていうか、フィードバックっていうかね、明日も頑張ろうみたいな感じになるので、それはすごくいい旅ですよね。あんまないですが、今回は三日連続のライブ。東京公演まで入れると。 もう 6 〜7日。 集中してやっていました。
____ ライブはその時々で出来不出来などがあるかもしれませんが、今回のツアーは充実感が相当ある感じですよね。
とても充実感あります。技術的にダメだったみたいなことは、もうどうでもいいんですよね。やっぱり、全体的に気持ち良くできたかっていうことが大切で。演奏もね、自分だけでやっているわけじゃないのと、音響の葛西敏彦さんにも来てもらって、リハーサルも安心してできているので、その上で毎回更新していくっていうね。それはもう如実に表れていてますね。昨日のツアーの最終日にROOMSでライブさせてもらいましたけど、ツアーはやっぱりだんだん良くなる。でも、名古屋は名古屋、大阪は大阪で同じ音ではないので、そこでしか見られないものを見せられていると思うからそれでいいかなと。僕のはやっぱり商品みたいな音楽じゃないので、各会場でどういう風に音を鳴らすかっていう、同じものはないぞって思ってやっていますね。今回はツアーとして連続してやりましたけど、それぞれ違う感じになっていますし、演奏者側も毎日良くなっているっていうのが表れていて、手応えがあったという感じですね。いつもはこんな連続してライブしないので。今回、最初で最後って言っているぐらいです。
____ 本当に最後なのですか?それはまだわからないのでは?
いや、今度は東北行こうぜって言っているメンバーがいるのがちょっと信じられないです(笑)。
____ 最初ではあることは確かだと思うけど、最後かどうかはわかんない。
いや、最後だと思っています。 各地の皆さんが呼んでいただけたらまた実現すると思います(祈)
____ いや何があるかわからないし、そこは期待していますけど。今後の予定としては、この後また旅が待っているんですか?
今年(2026年)は旅が結構多いですね。3月にアメリカのテキサスに行って、「サウス・バイ・サウスウエスト」っていう大きい有名なフェスティバルがあって。実は『SEKIRO:NO DEFEAT』っていう映画の音楽を担当していて、その関係で行きます。すごく売れているゲームの映画化なのですが、40曲ぐらい曲を作りました。その後もまだ発表になってないですけど、海外にライブしに行ったりとか…。
____ いろいろ旅が今後続いていくならば、ぜひ旅のレポートをお願いしたい。じゃあ連載をお願いします(笑)。
いきなり予定調和な感じですね(笑)とりあえず言葉にして落としていくってことですね。いいですね。
____ 一旦チームとしてはピリオドがついて、また新たな旅が始まり、連載がスタートする…。
そうですね。僕、ジャズのミュージシャンみたいに毎日どっか行って演奏をするような生活ではないので、基本的には自分のスタジオで、こつこつと制作してます。「鶴の恩返し」じゃないですけど、こつこつハタを織って、たまに出かけるみたいな感じが多いですね。
____ でも今年は出かけることが多くなりそうだと。 もうだいぶハタは織った感じですか?
織れているといいな。実はあともう一つ、『花緑青が開ける日に』という映画がベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出されました。2026年3月6日に全国公開されて、同時にサントラも出ますが、この映画の音楽もやっています。これは14曲ぐらいかな。imaseくんの主題歌もプロデュースしています。すごくいい映画です、はい。監督の四宮さん(原作・脚本・監督の四宮義俊氏)は日本画家で。もうかれこれ10年ぐらいこの作品を作っているみたいです。こだわり屋さんでね、本当に。見たことない緑の感じとかブルーの感じは、やっぱ日本画なんですよね。まるで岩絵具を使っているかのような。実写ではないから、全部フィクションなんですが、ぜひおすすめです。
そして、ツアー初日の東京公演で発表したんですが、8月6日にサントリーホールで僕の活動20周年記念コンサート、蓮沼執太Wフィル公演もあります!全国からぜひお祝いにきてほしいです。
____ ニュース満載ですね。では旅のおみやげ話を期待しています。
はい、宜しくお願いします。
◆映画『SEKIRO: NO DEFEAT』
https://sekiro-anime.jp/
◆世界最大級カンファレンス&フェスティバル「SXSW 2026」出演
3/12〜18米テキサス州開催「SXSW 2026」にてアニメ「SEKIRO: NO DEFEAT」パネル実施決定。監督 沓名健一 音楽 蓮沼執太 が登壇し手描きアニメーションとオリジナルスコアについてお届け。
https://schedule.sxsw.com/events/PP1150365
映画『花緑青が明ける日に』3月6日全国公開
https://hanaroku.asmik-ace.co.jp/
◆蓮沼執太「花緑青が明ける日に(オリジナルサウンド・トラック)」リリース!
CD:https://virginmusic.lnk.to/ANewDawn
Digital:https://soundtracks.lnk.to/anewdawn
◆蓮沼執太活動20周年記念コンサート
2026年10月に活動20周年を迎える蓮沼執太の記念公演の開催が決定。自身のオーケストラ・蓮沼執太フィルと新たに編成した弦楽オーケストラとの、二つのオーケストラによる新たな響きをサントリーホールで作ります。活動を総括した演目と挑戦をどうぞお楽しみに!
蓮沼執太Wフィル | Shuta Hasunuma Double Philharmonic Orchestra
日時:2026年8月6日(木)開場 18:00 / 開演 19:00
会場:サントリーホール 大ホール(東京都港区赤坂1-13-1)
チケット(e+):https://eplus.jp/shutahasunuma/ *3/1318:00よりオフィシャル先行販売スタート



