
どこの家にもある身近な家電の代表として「トースター」を作ろうと思い立った大学院生の著者。
秋葉原でパーツを購入して組み立てるとかではなく、パーツが何からできているかを調べ、原料をそろえるところから作り上げて卒業制作として発表しよう、と。
焼き網が鉄からできている、というのであれば鉱山へと赴き鉄鉱石を持ち帰る。庭に溶鉱炉(的なもの)を作り鉄を抽出。
筐体となるプラスチックを得るために採油をしている会社と交渉するも決裂。
プラスチックを作り出すべく試行錯誤。
ニッケルを求めてシベリアに行くか、フィンランドに行くか、閉山したイギリス国内の鉱山に忍び入るかと思い悩む。
どの原料を得る際にも立ちはだかる様々な問題。その都度浮かび上がる消費社会における問題点。環境や経済など実地で感じての考察には説得力があります。
軽快な文章でつづられる壮大な自由研究のような冒険ドキュメンタリー。
果たしてトースターは完成するのか、そしてこんがりトーストを焼くことはできるのか。
ポップな表紙にひかれて手に取ったら、思いのほか面白く、新たな学びにもなった1冊です。



