
スパイシーでおいしい!
と、読んだだけで条件反射的にじゅんじゅわーんとヨダレが出る、パブロフの犬ならぬ、パブロフのインド人のあなた。ここで紹介するのは、残念ながらカレーではない。
そう、キャロットケーキである。
僕はキャロットケーキが大の好物。カフェやベイクショップでみつけたならば、それこそ条件反射的にオーダーしちゃうのは、ニンジンが好きとか、ニンジンがエサ(馬か)というわけではなく。ニンジンの青臭さを消すために入れるスパイスが好きなのかもしれない。
温かで深いコクのあるシナモンやナツメグ、ピリリと刺激的なブラックペッパー……考えてみるとこれって、ワインの味わいの表現としてもたびたび使われている。ただ実際にスパイスをワインに添加しているわけではなく、ワインから醸される複雑な香りが、私たちの鼻やくちびる、舌をピリピリと刺激することで「スパイシー」と感じられるのだそうだけど。
ということでキャロットケーキよ。君はワインに合うにきまってる!とばかりにあらためてその視点から、ほうぼうのキャロットケーキを食べ比べてみることにした。
とにかく思うのはキャロットケーキって、お店によってホント個性まちまち。ほろほろ食感から、ふかふかの癒し系もあり、どれもおいしいけれど、ワインと合わせるなら「オリャーもっとスパイス来いや〜!」と叫びたくなってしまう。あれこれ探し求めた末、とうとう出会ったのは、なんと「とどろき酒店 薬院stand!」にもほど近い穴場のカフェ「it( )te(イッテ)」さん。まさに童話の青い鳥じゃないけれど、本当にお目当てのキャロットケーキは遠くではなく、すぐ目の前にあったのだ。
店主いわく、キャロットケーキに使っているのは、これまた近くのラーメン屋さん「麺道はなもこし」のオリジナルスパイス。ティムールペッパー、ブラックペッパー、マーガオという3種の黒胡椒。そこにシナモン、カルダモン、白胡椒をホールからゴリゴリと挽いて仕上げるのだという。
もちろんこのスパイスはそもそも麺のために生まれたのだろうけれど、あえてキャロットケーキに使うという発想。
こりゃいい!
ってことで購入し、とどろき酒店にソッコー持参。スタッフのみなさんに試食をしてもらい、合うワインを選んでもらう。
ワインセラーにこもること約5分。携えてきたのは「プラクシス ドッグ Brain ピノ・ノワール」。
なんでこれ?と尋ねると、ワインスタッフのKAFOHさんがおもむろに口を開く。
「けっこう味わいの層があるんです。ぜんぶピノ・ノワールで、軽さもあるけど、濃さもある。味わいの層があるんです。なんでかというと、ブドウが完全に熟してない早摘みと、しっかり熟した状態と、その間のやつとで、3ヶ月間かけて収穫してるから。最初のひとくちめはちょっと冷涼な感じで、それがニンジンに合うイメージ。時間が経って温度が高くなると出てくる凝縮した果実感は、スパイスを取りやすい。時間が経つにつれて味わいも変わってくるので、キャロットケーキの個性とも合いやすいなと」
と、さすがのキレキレコメント。勉強なります!
家に帰って僕もレッツ、ペアリング。キャロットケーキをほうばると、ほの甘さの中に、ピリピリとした刺激がやってきた。これこれ、この感じ。
そしてすかさずワインを飲む。シルクのベールをまとったような味わいにうっとりするのもつかのま、なんとまぁ!口の横、ほっぺの裏、舌先にもピリピリ感が増してくる。
そして言われた通り、少し時間が経ってから再びパクリ。すると確かにワインがしっかりと濃くなっている!こうなるともやはケーキに負けてない、むしろ戦いを挑んでいる感じ。舌の根っこまで続くわ続くわ、事件性を感じるほどのピリピリマリアージュ!
そしてすべて食べ終わっても、まだピリピリトロッコは止まらない。しかも一直線ではなく、あっちこっちを彷徨いながら、味覚の冒険に連れてってくれるのだった。





「it( )te」のキャロットケーキと合わせたのは
ムーリラ / プラクシス ピノノワール2024赤
地球上最も空気と水が綺麗と言われるタスマニアのワインです。
ワインメーカーは心優しきカナダ出身のコナー・ヴァンデル・リースト氏。
福岡にいらっしゃった際にインタビューしていますのでぜひご覧ください。
「my favoriteなワインの造り手」 醸造家 コナー・ヴァンデル・リーストさんインタビュー
熟したいちご、ブラックベリー、スパイス、ハーブなど様々な香りが広がます。
やわらかな口当たりでジューシー。時間の経過とともにふくよか&複雑に変化してしていきます。
キャロットケーキも素晴らしい相性ですが、王道に赤身の肉にもピッタリ!
ムーリラ プラクシス ピノノワール2024赤
販売価格(税込み) 4,015円