日本映画史上に残る、若尾文子の美しき悪女ぶりに乾杯!

『しとやかな獣』1962年/日本

 大好きな川島雄三監督作品で何となく一杯やりたい気分という事で、1962年の年末に公開された『しとやかな獣』を。川島の代表作である『幕末太陽伝』も日本酒に合いそうですが、今回はこちらの作品で行きましょう。主役は日本で悪女をやらせたら誰もこの人にはかなわない、若尾文子の魅力が全開の映画です。足が付いたテレビなどの家電も懐かしい高度経済成長時の団地を舞台に金の亡者たちが繰り広げるブラックコメディ。原作・脚色は名匠 新藤兼人、俳優陣は伊藤雄之助、山岡久乃、山茶花究、小沢昭一、ミヤコ蝶々など、脇を固める一癖も二癖もある人たちの演技がこれまた私好みすぎてお酒もガンガン進みます。
 
 2020年の第92回アカデミー作品賞を獲ったポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(2020年)を公開初日に劇場で観たのですが、すぐにこの映画を思い出しました。ポン・ジュノの事だから、ぜったいにこの映画は観ていますよねー。作品の主な舞台となるのが、「団地」という空間を舞台にしているところなども、どことなく「半地下」を連想します。     

 しかし興収目標が高い正月映画としてはいまいち興行成績が振るわず、川島は落胆したそうですが、モラルなき守銭奴たちの騙し合いが、狭い団地の室内だけで繰り広げられる展開は、今見ても全く持って古びていないです。

 ちなみにこの舞台となった東京の晴海団地の設計は、東京文化会館や福岡市美術館などでも知られる前川國男です。

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しとやかな獣 と合わせて飲みたいワイン


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オレンジやジャスミンの香りが華やかで、キュッとするライムのような酸味は暖かい日にピッタリ。

ひと癖あるつくり手ですが、ものによっておしとやかな面が見られるのも、ワインの面白いところ。

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『しとやかな獣』1962年/日本

監督:川島雄三 原作・脚色:新藤兼人

出演:若尾文子、伊藤雄之助、山岡久乃、船越英二、高松英郎 ほか

元海軍中佐で現在は無職の時造は戦時の貧しさを繰り返したくないと、妻と他人の金を巻き上げることに没頭している。息子の実は勤め先から金を横領し、娘の友子は小説家の愛人になっている。そこへある日、息子が使い込みをしていた会社の会計係が現れて…。

松尾伸也

「MY FAVORITE THINGS」編集長。酒、レコード、映画、活字、美味しいものの周辺に生きている。本来は「映画は劇場で鑑賞する派」だが、コロナ禍のスティホーム時期に録り溜めしていた映画を少しずつ見出して、いつのまにか千本を突破。映画をアテにチビチビと、好きなお酒を飲みながら過ごす週末を楽しみに日々を送っている。

ダテユウイチ

長崎県出身・福岡在住のイラストレーター。1989年生まれ。2014年より本格的に活動を開始し、シュールでユーモアなタッチの作品を特徴とする。ドローイングや個展を多数開催しており、雑誌、アパレル、企業とのコラボレーションも展開。地域に根ざしたPOP UPイベントなど、多様な形で表現を行っている。