蓮沼執太 旅とお酒にまつわる話 (ハル、テキサス Keep Austin Weird)

2026年3月15日出国、18日帰国の日程でアメリカ・テキサス州に行ってきました。40年続くフェスティバル『SXSW|サウスバイサウスウェスト』に出演するためです。ライブではなく映画音楽の話をするために行きました。『SEKIRO : NO DEFEAT』というアニメーション映画で、40曲ほど作曲した力の入った作品です。沓名健一監督と一緒に登壇をするのが今回の目的でした。作品のプレビューも行われ、熱心なファンも多く、成功に終わりました。2026年中には日本でも公開になる予定です。

旅の様子はこの程度にしておき、初日の夜はテキサス大学卒業、日本にも滞在して、大の音楽好きで、今回の作品に大きく関わってくれているCrunchyroll社のアダムさんが全ナビゲートをしてくれました。アダムは実は会社では偉い方なのですが、そんな雰囲気をまったく感じさせず、我々にテキサス・オースティンのローカルなバイブスを提供してくれました。

初日の夜は『TEXAS CHILI PARLOR』へ。アダムが大学生の時から通っているパーラーです。メキシコ料理をテキサスで採れる素材でアレンジされたのがテキサスローカル。乾杯には地元産ビール「Shiner Rock」ボトルでスタート。アダムはオーダーの手を緩めません。次から次へとフリトーパイ、チリビーンズ、チーズ・エンチラーダスなどが運ばれてきます。

翌日の朝はデリでモーニング・タコスとコーヒーを。トルティーヤの中身はオムレツとチーズ。おぉ、テキサス。お昼はホテルのロビーでランチを。僕が初めてアルバムをリリースしたレーベル Western Vinyl ブライアンと会ってお話をしました。初対面で少し緊張した空気もあったけど、真面目な彼の人柄が伝わってきました。僕らは手紙とメールだけで繋がれていた間柄だったけど、彼がいないと音楽をやっていなかったと思います。みんな覚えていないと思うけど、昔あった音楽SNSのmyspaceの話をしました。またの再開を願って!その後に、前述の登壇をして、終わったら打ち上げです。

車で30分ほど離れた郊外にあるBBQステーキのお店『THE SALT LICK BBQ』にやってきました。屋外もある広大なレストランです。厨房の横には釜がありそこで肉が燻されています。肉の油が滴ることで、釜の炎が上がっていく仕組みで、とても良い匂いです。ドリンクは持ち込みでテキサス産のクラフトビールからワインまで。PINTHOUSEのHazy IPA、Hi Sign Brewing のViolet Blueberry Blondeが美味しくて印象的でした。アメリカ全土でクオリティの高いクラフトビールが飲めるのはスタンダードになってますね。ウィスキーの蒸留所もあるそうだけど、日本の方が美味しい、というのはアダム談。

打ち上げ後は夜のオースティンへ。ピアノ2台がステージにあり、お客さんからのリクエストを受けてその場で演奏して歌うライブステージだったり、老舗ライブハウス『The Continental Club』ではNY在住のシンガーのバンド編成のライブを観たり。ここで飲んだマティーニが忘れられません。「Clean or Dirty ?」 とバーテンの女性に言われて、普段マティーニを飲む機会がないので「Dirty」とオーダー。しかし、出てきたマティーニは、オリーブがつけている液がしっかりと入った塩っけたっぷりの特製マティーニ。僕が無理して飲んでいたら、アダムがすかさず僕の雰囲気を察知して「違うのに換えてくるよ!これは君が飲むものじゃない。」といって、Cleanマティーニを奢ってくれました。紳士な姿のアダムに感動です。

ホテルに着いたのは朝3時で、2時間後に空港に出発するという、とても短い滞在ではあったけど、人の縁と場所の歴史が繋ぐローカルな体験が出来ました。

次はどんな出会いがある旅になるでしょうか。次回をお楽しみに。

◆Shuta Hasunuma "unpeople" World Tour 2026
アメリカ公演が発表になりました。ニューヨーク公演はPublic Records、ロサンゼルス公演はThe Healing Force of Universeでソロ・パフォーマンスを行います。ソロの海外公演は2019年以来7年ぶりとなります。

6月13日(土)Public Records, NY
6月20日(土)Healing Force of The Universe, LA
https://www.shutahasunuma.com/


◆活動20周年記念コンサート
蓮沼執太Wフィル | Shuta Hasunuma Double Philharmonic Orchestra
2006年に米国のインディーズレーベルから1stアルバムをリリースし、今年で20年を迎える蓮沼執太。これまでの活動20周年を記念したコンサート「蓮沼執太Wフィル | Shuta Hasunuma Double Philharmonic Orchestra」を東京・赤坂のサントリーホールにて開催します。自身のオーケストラ・蓮沼執太フィルと新たに編成した弦楽オーケストラとの、二つのオーケストラによる新たな響きをサントリーホールでつくります。活動を総括した演目と挑戦をどうぞお楽しみに。

日時:2026年8月6日(木)開場 18:00 / 開演 19:00
会場:サントリーホール 大ホール(東京都港区赤坂1-13-1)
詳細:https://www.shutahasunuma.com/products/suntoryhall-w-phil

 

蓮沼執太

音楽家、アーティスト 1983年、東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して、国内外での音楽公演をはじめ、映画、テレビ、演劇、ダンス、ファッション、広告など様々なメディアでの音楽制作を行う。また「作曲」という手法を応用し物質的な表現を用いて、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンス、プロジェクトを制作する。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

Eishin Yoshida

東京生まれ東京育ち。大学で芸術メディアを学び、アートペースの事務局を経て2012年に米国へと渡る。ニューヨークでMedia Studies修了後、サンフランシスコに移り住み、ひびの営みを彩るささやかな楽しみをきろくしはじめる。代表作に、愛飲したクラフトビールをきろくした「California Brew」。2022年より家族で東京在住。